写メ日記 | 詞の朗読会

詞の朗読会

2020/01/10 10:02:10

アイザック・ディネーセン(デンマークの女性作家のカレン・ブリクセンの筆名)
アフリカの日々の中の一小節
このキリンたちは、この先、見知らぬ異国で故郷を思い出すことがあるのだろう?今居る港、ここに来るまで生きてきた場所、草原な刺のついた灌木、河や水溜まり、遠くに青く霧む山々のことを?
仲間のキリン達と一緒にうねうねとつづくこの土地を早駆けしたことを、彼らは思い出すだろうか?
仲間のキリン達はいってしまった。
もう二度と会うことはないだろう。
囚われのキリン達は、動物園の檻のなかで、腐った麦とビールの匂いの中で身震いしながら目覚めるのだ。
さようなら、さようなら。キリン達よ。
お前達が、どうか旅の途中で死にますように。
キリン達は囲いの上に、モンパサの青い空を背景に、その誇り高い小さな頭をもたげている。
どうか二頭とも死にますように。
そうすれば離れ離れにされ、アフリカの風のことなど誰一人知る人もないドイツの動物園の檻に入れられることもないだろう。
私達人間以上の罪人が他にあるだろうか?キリン達は私達のこのひどい罪をはたして許してくれるだろうか?